感想は観想に似たり 3rd

アニメ・ゲーム・ライトノベルなどの感想を、趣くままに書き綴ります。

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狼と香辛料9 感想

これまた読んでから大分たっての感想となってしまいました。しかも今まで巻毎に感想書いていないのになぜか9巻の感想。いやぁ12月ですなぁ(なにが?)


さっそくですが感想です。9巻は上下二巻構成の下巻に相当します。
特段変わることなくいつものテンションで物語は進んでいきます。


以前にも感想を書きましたが、この作品の面白いところは、1.非常に現実寄りなんだけれどもファンタジックな世界観 2.登場人物たちのコミュニケーション の2点だと私は思っています。2点目については主にロレンスとホロのやり取りになるわけで、さすがに9巻目(7巻はサイドストーリーなので厳密には8巻目)ともなると若干食傷気味になるところですが、前巻あたりからコルが加わったことによって会話の幅をうまく広げています。作中ではあえて明言されていませんが、「店主とおかみさんと弟子」という一般的な商人の家族構成になったことで(ホロはおかみさんではないしコルは弟子ではありませんが)、商人としてだけではなく、社会生活を営む大人の人間としても将来のリハーサルをしているような感じになってきています。「人を使う立場」「帰るところがある」という表現から見ても、ロレンスが若い行商人から長年の夢である店の主人になるためのステップをひとつひとつ登っているところだという感じです。


のべつ幕なし物語りは進んでいきますが、さてさてロレンスとホロの関係はこの先どこに落ち着くのかが非常に気になりますね。今回の話は、大商人になることが否定的に描かれていたり、町商人の大変さとロレンス自身の町商人への適正について触れられていたりと、町商人の夢をあきらめて一生行商人をしていくことに対する伏線か?と取れる記述もありましたが、最終的にはホロに背中を押されて店を持つところに落ち着くのではと思います。ただ、そのときとなりにホロがいるのかどうかという点については正直今の段階では予想は難しい。。。というか、きっとそこまでは描かれないで終わるんではないかという予感です。

夢は夢のままで持ちながらあくまでそれに向かっているどこかのタイミング(結局今と変わらない状態)で終わるのではないかと思います。二人で暮らすのも、別れてしまうのも、どちらも残酷すぎて描けないのではないか、と。まぁさしあたって次はウィンフィール王国に渡ってまた狼の骨の話を追いかけるわけですから、当分そのときは来ないと思いますけど。


さて今回のお話に話題を戻しますと、レイノルズがやっていた銅貨ごまかしは、一時は大したネタにはならないと思われていたものの、やっぱり最終的にキーになるんですね。上げて下げてまた上げる、みたいな。うーむなかなかやりますね。
商売上のトリックはなかなか難しく、一度読んだだけでは理解が困難でした(私の理解力不足なだけか)。てか、いまだに部分的に良くわかっていないかも。そのへんは、こう、なんとなく流れでごまかしてます。


そして何よりもエーブの活躍(というか暗躍?)が今回の目玉でもあります。彼女がまた物語り上いろいろな意味でうまい具合にスパイスとなっていますね。「ローヌ川の女狼」と呼ばれ、文字通り非常に刺激的な女性ですが、その根底にあるものは彼女の生い立ちによる極度の人間不信であり、誰も心から自分の名前を呼んでくれはしないという孤独感でした。それに対しロレンスは、かつて裏切られた間柄であり、商人としてもロレンスよりかなり上を行く手腕の持ち主である彼女に対し、命を救うために全力を持って手を差し伸べた。それは彼女の人間不信と孤独感を一度に埋める行為だったわけです。

ロレンスは商人としては必ずしも一流とはいえないかもしれませんが、とかく商人=人に非ずと揶揄されるような世界において、商人でありながら人であることを辞めずに、あくまで(損得を抜きにした)人間として振舞うことの大切さを見失ってはいない。そこが読者としては面白く、またホロがロレンスを選んだ理由ともなっているのでしょう。


※そういえば私の友人で「所沢の女豹」と自称していた女性がおりましたが、彼女も女狼を見習ってもう少し賢くなって欲しいものです。(本作とは全く関係ありません)


相変わらず安定的に面白いです。今回8巻で若干飽き気味な感がありましたが9巻で盛り返したという感じです。☆3.5です。


狼と香辛料(9) 対立の町 下


狼と香辛料(8) 対立の町 上
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テーマ:ライトノベル - ジャンル:本・雑誌

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