感想は観想に似たり 3rd

アニメ・ゲーム・ライトノベルなどの感想を、趣くままに書き綴ります。

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オイレン・シュピーゲル スプライト・シュピーゲル

冲方氏が変なことをやらかしています。同じ舞台の二つの物語をドラゴンマガジンとザ・スニーカーで同時連載。スプライト・シュピーゲルとオイレン・シュピーゲル。

オイレンは涼月、陽炎、夕霧の三人、スプライトは鳳(アゲハ)、乙(ツバメ)、雛(ヒビナ)の三人が主人公で、紛争状態にあるミリオポリス(旧ウィーン)を守るため、特甲と呼ばれる自動転送型の武器を用いてあらゆる反政府組織と戦う、簡単に言えばそういう物語です。


文体はマルドゥック・ヴェロシティと同様、―や/といった記号がたくさん用いられていて、初めて読む方には少し違和感があるかもしれませんが、慣れれば気にならなくなるというか、記号を含めた書いてあることを感覚的に捉えられるようになるのでスピード感が増します。

本中のイラストはそれぞれ別の方が書かれています。個人的にはオイレン・シュピーゲルのほうがマッチしている感じがします。スプライトは14~5歳にしては少し幼すぎるかと。


どちらも冲方節炸裂って感じで非常に面白いですが、オイレンのほうが若干ハードな文体で書かれているため私はこちらのほうが好みです。また内容的にも今のところオイレンが一歩リードといった感じがしています。

それぞれ三人の主人公がいて、同じ小隊に属して戦っているわけですが、なぜその三人なのか、という意味づけがオイレンのほうがよりきちんとされている点がその理由です。

涼月・陽炎の二人は、それぞれ一度夕霧に救われている。ドラマチックな出会いと今まで過ごしてきた時間が横たわっていて、過去→今という必然がある。ところがスプライトの三人は、それぞれが今一緒に居る必然が無い(少なくともまだ描かれていない)。だから今の関係に疑問というか、説得力が無い。それは乙自身も言っていて、鳳は「代わりなんていない」って言っていたけれども、まだそれがお互いに黙っていても分かり合える関係になっていないというところが、二つの主人公たちの違いです。

オイレン、スプライトそれぞれ一巻ずつ、一人ひとりの主人公にフォーカスを当てた物語が、全部で6つあることになるんですが、その中でも一番好きなのは夕霧の話です。夕霧はその持ち前の天然パワー(?)で、(無自覚かもしれないが)涼月や陽炎を救ってきた経緯があるんですが、反対に夕霧自身は何によって救われているかというと、その根源は「ママ」であり、まだ涼月や陽炎から救いを得たという関係ではない、つまりこの時点では相互関係になっていない状態でした。ですが一連の事件の後、夕霧はママに対して、自分は一人ぼっちじゃない、自分と同じくらいママが幸せでいますように、と言っています。もしかしたら今までもそうだったのかもしれないけれど、少なくとも今回の事件以降、自分が心から信じられるものとして、ママの他にも大切なひと(涼月、陽炎)がいるということを夕霧自らが語っています。この、三人の関係が相互に繋がったところが私の一番好きな場面です。オイレンが好きな理由ってのがまさにここです。


ただスプライトにしても、作者自身今の時点で描き方が足りていないところを意図しているような感じもするので、この部分はおそらく続編にて描かれることになると思います。こういうところは特に本当に手を抜かない作家さんですからね。


最後に、個人的に最もツボだった一言。
「一日前に突入かよ。最前線すぎだっつの」by涼月
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